臭素酸カリウムの安全性について厚生労働省からコメントが発表されておりますのでご紹介します。これは内閣府食品安全委員会の食品安全モニターからの質問に答えたもので、同委員会のホームページに掲載されました。
○パン生地改良剤としての臭素酸カリウムの使用再開について 発がん性が確認されている臭素酸カリウムが、小麦粉改良剤として表示条件つきで使用を再開されたことに対して不安に思っています。 (岡山県 女性 56歳 その他消費者一般)
臭素酸カリウムはパン生地改良剤として昭和28年から食品衛生法でパンに使用が認められている食品添加物です。その働きはパン生地の発酵を格段に改善し、小麦粉のタンパク質を伸展性のあるものに変えて、ふっくらしてソフトで風味のよいパンをつくるのを助けます。 昭和57年、臭素酸カリウムのラットへの高濃度投与(500ppm、250ppmを毎日飲料水として長期にわたって投与)による動物実験により、発がん性が認められたことから規制が強められましたが、パンの製造過程において分解することなどから、30 ppm以内の使用で最終製品には残存してはならないという使用基準が策定されました。平成4年、厚生省より(社)日本パン工業会に対し使用自粛の要請があり、パン工業会会員を中心に使用を自粛しましたが、使用自粛の科学的根拠が示されなかったため使用自粛の科学的根拠を明らかにする努力が開始されました。 米国FDA(食品医薬品局)の見解により、パン中の臭素酸の残存量が30 ppb以下であれば検討の余地があるとの示唆を受け、パン中の臭素酸残存分析法の開発に取り組みました。分析法は次第に精度が上がり、現在では 0.5 ppbレベルまで検出が可能になりました。角型食パン(プルマン型食パン)では、適正な製造工程を遵守するならば、0.5 ppbレベルで残存することはありません。さらに臭素酸カリウムを溶液化して添加することにより、パン生地中の臭素酸の働きが促進され、食パンの品質が格段に改善し、風味も向上することがわかりました。 また、溶液化した臭素酸カリウムとビタミンCとを併用することにより、今まで困難であった国産小麦100 %の食パンの製造が可能となりました。このように臭素酸カリウムは極めて有効で、かつ安全性が確認された角型食パンの品質改良剤です。
*ppbというのは、10億分の1を表す単位(ppmは100万分の1を表す単位)で、0.5 ppbは香料や包材等にある化学物質(発がん性物質であるなしに関わらず)が食品に移行したとしても、それ以下であれば全く問題ないとされている量です(JECFA(FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議)並びに米国FDA(食品医薬品局)の資料による)。
平成4年に製パン業界では臭素酸カリウムの使用を自粛してから、この代替としてビタミンCを使用しています。ビタミンCと臭素酸カリウムを比較すると、臭素酸カリウムを使用したパンは発酵とグルテンの形成が格段に改善されるため、よりソフトで歯切れもよく、パン本来の豊かな風味が引き出されます。臭素酸カリウムを使用したパンは、グルテン膜が薄くしっかりと伸びているため、水分をパンの中に閉じ込めて老化しにくくなります。 また、臭素酸カリウムを溶液化しビタミンCと併用することによりパン生地中での働きを高め、品質改善効果をさらにアップさせる新技術が開発されました。
食品衛生法では、臭素酸カリウムは最終製品に残存してはならないとされています。角型食パンについては、厚生労働省が定めた検出限界0.5ppbという高精度な分析法で残存しないことが確認されています。 また、一般社団法人 日本パン工業会 科学技術委員会小委員会では、適正な製造を行うための自主管理基準を作成しており、これにより第三者機関である(社)日本パン技術研究所によってパン中の臭素酸カリウムの残存がないことを確認しています。また、発売後も定期的に残存がないことをチェックしています。 現在、米国では臭素酸カリウムが広く使用されており、米国FDA(食品医薬品局)は20ppb以下の残存なら安全との公式見解を出しています。また、日本では水道水中に含まれる臭素酸カリウムの残留について、10ppbの残留許容基準が設けられています。
臭素酸カリウムは加工助剤として最終製品中で分解または除去が義務付けられているため、法律上の表示義務はありません。しかしながら、臭素酸カリウムを使用して製造する角型食パン全品に対し下記の表示を行い、サンドイッチ等の二次加工品につきましても簡略化したものを表示します。
本製品は品質改善と風味の向上のため、臭素酸カリウムを使用しておりますが、その使用量並びに残存に関しては厚生労働省の定める基準に合致しており、第三者機関によって確認されております。(一般社団法人 日本パン工業会 科学技術委員会小委員会)